この間、北海道の鈴木知事は、カジノIRの誘致を断念すると表明しました。候補地の苫小牧植苗地区では、フクロウ・タカ・ワシなど希少な猛禽類や植物が生息し、自然環境への影響が懸念されること、インフラ整備の時間と費用が見通せないこと、66%の道民が誘致に不安を抱えていたことなどが課題となっていました。
北村誠吾・地方創生担当大臣の地元、佐世保市でもカジノIRには反対世論が多数であり、反対署名が県庁に提出されるなど、住民の理解や合意形成はまったくできていないことを指摘しました。
カジノIRが地方創生に資するものだと答弁した北村大臣に対し、和歌山県では大阪にカジノIRが誘致されることを念頭にマリーナシティでのIR基本構想を打ち出しており、大阪のIRに送客することも想定していることを暴露し、まるで「カジノのはしご」であり、カジノを往復させることなどが地域振興になるはずがないと批判しました。
また、大阪や和歌山のIR基本構想では、経済効果や雇用創出の具体的な試算がされている一方、ギャンブル依存性が増えることによる社会的・経済的費用についてはまったく触れられていないことを指摘。韓国の例を示し、失業や倒産、犯罪や自殺、医療などにかかるコストを算出しなければ、住民や議会は公正な判断ができないではないかと質問。
カジノ担当の政府参考人は、「運営に伴う有害な影響についても、自治体およびIR事業者が講ずることとしている具体的な対策及びそれに要する費用の見込みついて記載していただく」と答弁しましたが、こちらの意図した社会的・経済的費用については触れませんでした。
最後に特定貸付業務について質問。現在、公営ギャンブルやパチンコについては使いすぎ、借りすぎ防止の観点から施設内のATMの撤去がすすめられていますが、カジノ整備法では、カジノ事業者が顧客に賭博資金を貸し付けることが許されており、大きな矛盾ではないかと質しました。
政府は、「顧客に対するサービスの一環として限定的に認めるもの」だと答えましたが、預託金に対する貸付の範囲については事業者が定めることとなっており、信用調査をもとに必要以上の貸付を行う危険は排除されません。
カジノIRは地方から金を巻き上げ外国の企業へ流れていくシステムです。地方創生に反するものだということを強く指摘して質問を終えました。(2019/12/4記)