今朝の赤旗に、「吉本興業の問題 元芸人として思うこと」と題した私のインタビューが掲載されました。やまなかけんじさんが文字起こしをしてくださっています。ありがとうございました。(2019/8/5記)
やまなかけんじさんのFacebookより(2019/8/5 10:38)
■吉本興業の問題 元芸人として思うこと…笑いの原点は権力批判—–、その矜持を取り戻してほしい 日本共産党衆院議員 清水忠史
所属芸人が反社会的勢力の集まりに出席し金銭を受け取っていた「闇営業」や、所属芸人との間に契約書を交わしていなかったなど吉本興業をめぐる一連の問題について、元芸人で日本共産党衆院議員の清水忠史さんに聞きました。 (松浦裕輝)
–闇営業の背景は。
清水:ほとんどの芸人、とくに若手は、芸の仕事だけでは食えないですよね。私も芸人だった当時はアルバイト中心でした。ギャラがアルバイトを超えるというのはなかなか難しかった。皆、友達や知り合いから漫才のステージや司会など仕事の誘いがあれば受けていました。事務所を通さずに受けると「闇営業」です。
問題は報酬の最低保障がないことです。「食えない分は自分たちで稼げ」と事務所が闇営業を容認してしまっている。闇営業だと反社会的勢力とのつながりを見抜くのが難しい。事務所がタレントを守るために最低保障や仕事の見極めに責任を負うべきです。
–吉本興業は所属芸人と契約書を交わしていませんでした。
清水:これはタレントだけでなく、個人で仕事を請け負うフリーランスにも共通する問題です。公正取引委員会は、口頭契約だけでは、発注者の「優越的な地位の濫用」によって不利益を被る場合があると注意を促しています。
公取委の検討会がまとめた報告書では、事前に金額を確認せずに仕事を受けているという人が3、4割ほどいる。今回の場合も吉本興業の方が立場が強い。書面がなければ十分な対価を得られない結果も生まれます。
今回、ギャラの比率が話題になりました。私が所属していた事務所の場合は、若手で半々くらいだったと思います。当時は契約書がありませんから、この仕事がいくらということも分かりません。ギャラの話を先にするような若手芸人は生意気だから使わないなどと言われてしまう世界です。やっぱり売れたいし、たくさん仕事がほしいじゃないですか。ほとんどのタレントさんはそういう弱い立場でやっています。
–どういう方向で解決をはかるべきでしょうか。
清水:文書での契約にシフトしていくことが大事です。しかし、それだけではだめです。吉本が養成所の合宿参加のため「死亡しても責任は一切負いません」という誓約書の提出を求めていたことが発覚しました。「参加する人は法律を守ること」とも書いてあったといいます。法律違反のことを誓約させといて、法律を守れと迫るのはこれこそ笑えないギャグです。
基本的には発注側とタレントが対等の立場で契約書を交わす。闇営業をしないでいいように、生活できる最低限の報酬は保障するなどの仕組みを考えることです。そういうふうに芸能界も変わっていってほしい。
–吉本興業の体質や政権との距離も批判をよんでいます。
清水:反社会的勢力からの金銭は受け取っていないとうそをついていたタレントが、正直に言おうとしたら、「全員連帯責任、クビにする」(吉本興業・岡本昭彦社長の会見、7月22日)と止められた。問題をもみ消そうとしたといえます。これは企業の体質の問題です。タレントだけに責任を負わせてすむ問題じゃありません。
政治との距離でいえば、吉本は経済産業省所管の官民ファンド「クールジャパン機構」から最大100億円の出資を受ける事業に参入しています。行政との関係では、所属タレントが大阪万博の誘致に協力したり、大阪市と吉本で包括連携協定を結んだりしている。吉本新喜劇に安倍首相が出演したり、吉本の芸人が首相官邸を訪問したりしたことも政権との深いかかわりを示しています。
お笑いの原点というのは、権力批判、権力風刺だと思います。とくに上方大阪というのは庶民の笑いですからね。弱者の視点で強いものを笑い飛ばしてスカッとする。それが大阪の笑いなのに、権力におもねるようなものが笑えるのか。権力側の政府や行政と深く結びついて果たして批判や風刺ができるのか。お笑いの矜持を取り戻してほしいです。
–なぜ大阪にいながら吉本でお笑い芸人を目指さなかったのですか。
清水:もちろん、吉本への憧れは子どもの頃からありました。ただ、私の場合、弱い人をいじって笑いをとったり、一部の人に嫌な思いをさせることで喜んでもらったりするのではなく、自分のカッコ悪いところを見せたりしながら、全てのお客さんに笑顔になってもらう芸風を目指していましたので「下ネタ」や「どつきネタ」を自粛する当時の事務所の方針が合っていたのだと思います。
阪神・淡路大震災で仕事がなくなり、タレントヘの夢をあきらめたのですが、ボランティアに参加する中で日本共産党と出合いました。懸命に被災者支援に励み、政治を良くするために頑張っていた共産党は、まさしく全ての人を笑顔にする政党だと思い入党しました。
テレビや演劇の舞台ではなく、政治の舞台から、みんなを幸せにすることのできる今の仕事に生きがいを感じています。これからも頑張ります。
※しみず・ただし:日本共産党衆院議員(2期)。1968年大阪府生まれ。93年、松竹芸能タレントオーディションに合格し養成所へ。漫才コンビ・ツインタワー結成。テレビ出演も果たす。95年の阪神・淡路大震災のボランティアの中で政治に関心を寄せ、97年に日本共産党に入党。2014年12月、第47回衆院選で初当選。19年4月、共産党の宮本岳志氏(比例近畿ブロック)の衆院大阪12区補欠選挙立候補を受け繰り上げ当選
http://bit.ly/2yJfhNj ←清水ただし衆議初質問。
http://bit.ly/2KfsLXW ←高校生イベントでの摸擬投票、共産党3%。清水ただしさんを投入していれば、また違った結果が出たのではないか。
https://goo.gl/RL1IbK ←質疑と討論に立ったのは日本共産党だけでした。一緒にたたかってきたみなさんのことを思い浮かべて全力でのぞみました…と、清水ただし衆議。
https://goo.gl/IG9EFT ←2016年1月に発生したスキーバス事故問題を追及する清水ただし議員。
https://amzn.to/2MB0mNo ←日本共産党政権奪取の条件/適菜 収(作家)さんとの対談本