5月24日、衆議院国土交通委員会が開かれ、リスクを伴う不動産投資に国民を煽ろうとする不動産特定共同事業法の改定案を審議し、日本共産党以外の賛成多数で可決しました。資本力が乏しく投資運用実績のない不動産業者にも参入を認め、インターネット上で投資契約を完結できる仕組みを設けるなど、投資家保護の観点からも認められない規制緩和です。質疑の後、反対討論に立ちましたので、その原稿をご紹介させていただきます。
【不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に対する反対討論】
私は日本共産党を代表して、ただいま議題となりました不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。
反対理由のひとつめは、小規模不動産特定事業に係る特例の創設が、投資家保護の観点を損ねるものであるからです。現行法では、事業者の参入を規制するために、資本金が1億円以上と比較的厳格な基準が設けられていましたが、改定案はこれを1千万円以上と大幅に引き下げるものとなっています。
それに加えて、事業者の参入要件を許可制から登録制へと緩和することは、投資家保護の確保どころか、悪質業者の参入を許すことにもなりかねません。
そもそも、空き屋や、空き店舗の再生事業などのまちづくりを、不動産投資というリスクある手法に委ねるべきではないのです。
あらたに参入する不動産事業者などのすべてが、投資運用業務に精通しているわけでなく、不当な勧誘や説明が行われることがあれば、投資する側に被害が出ることとなります。
ふたつめの理由は、クラウドファンディングに対応した環境整備として、これまで投資家に交付していた契約締結前の書面等について、インターネット上での手続きを可能としたことです。
約款等について、対面での説明を省略することにより、元本割れなどのリスクを十分に理解しないまま契約する危険性が生まれ、投資家保護の規律を後退させるものとなりかねません。これまでも不動産などの投資を持ちかけられた高齢者等からの苦情が、国民生活センターにも寄せられているのです。
土地基本法第4条では、「土地は投機的取引の対象とされてはならない」と明記されており、これに照らしても、土地や建物などの不動産を投機の対象とするべきではありません。
本改定案はリスクを伴う不動産投資に国民をあおりたてるものであり、とうてい認めることはできません。
以上、趣旨を申し上げ、反対の討論といたします。