新聞販売店の経営守れ――「押し紙」なくせと質問
30日に開かれた消費者問題に関する特別委員会で、新聞残紙問題、いわゆる「押し紙」について質問しました。「押し紙」とは、新聞本社が販売店に供給している新聞のうち、販売店から戸別の読者に配られることのない大量の新聞のことであり、古紙として廃棄されるにもかかわらず本社に仕入れ代金を納めねばならず、販売店の営業を圧迫する要因ともなっています。
このたび佐賀地方裁判所は、佐賀新聞社が販売店に対して押し紙を供給していたことを認め、押し紙の支払いを拒否し、本社から販売店契約の更新を拒絶された販売店の地位保全を認める仮処分を行いました。この販売店では、毎日400部を超える「読者のいない」「無用の」新聞が供給され、経営が圧迫されていたのです。
このようなケースは、佐賀新聞社にとどまらず、読売、朝日、毎日、産経、日経、その他おおくの地方紙にも存在していることを、私は販売店からの聞き取りや独自の調査を元に告発しました。
公正取引委員会事務総局の山本佐和子審査局長は、「販売業者に不利益を与えることは不公正な取引方法として禁止しており、このような行為が行われている場合には厳正に対処する」と答弁しました。
ある販売店は、新聞社に押し紙の仕入れ代金を支払うため借金までしています。しかし、ほとんどの販売所は、不公正な取引を告発したことが優越的な立場にある新聞本社に知れると不利益を受けるかもしれないという恐怖心からなかなか踏み切ることができないのです。
決死の思いをして通報に踏み切った販売店への対応を公正取引委員会に問うたところ、「電話やメールだけでなく、必要に応じて面談も行うなど、丁寧な対応に努める。また、通報者の情報についてもしっかり守る」と答えました。
新聞の勧誘に関するトラブルも高止まりしており、特に高齢者からの相談件数はこのトラブルが大半を占めています。その要因のひとつに配られることのない大量の新聞残紙の問題があり、消費者保護の観点からも押し紙はなくしていかなくてはならないという認識を持つように松本純担当大臣に要請しました。
組織ジャーナリズムの果たす役割は重要です。言論の自由を守り、平和で豊かな暮らしを求める国民に、正確で必要な情報を提供しているのが新聞です。インターネットが発達した今日でも、紙媒体としての新聞需要は決してなくなることはないと思います。また、新聞宅配率は諸外国と比べても極めて高いものがあります。それを担っているのは、新聞本社、記者のみなさん、印刷や運送に携わる方々のご苦労があるからこそです。
そして何と言っても、昼夜分かたず懸命に読者に新聞を届けてくれるために努力する新聞販売店や配達員の皆さんの汗と涙の努力があるからこそなのです。みなさん、誇りを持ってこの仕事に取り組んでいただいているということを今回の質疑を準備していく中で教えられました。
これからも新聞宅配制度を維持し、新聞業界の健全化のためにも、押し紙問題の解決を図らなくてはなりません。引き続き取り組んでいきます。