市民のための警察に――法務委員会で60分間の質疑
【う し ろ む き】
本日の衆議院法務委員会での警察の姿勢です。先日の参考人質疑で、盗聴事件被害者の緒方靖夫さんの意見陳述を受けてなお、警察庁は盗聴事件について認めようとしませんでした。警察官3人が職務で盗聴したことは明白なのに、組織的行ったものとは断定されていないと、警察としての責任を認めないのです。警察も写真も後ろ向きだといわなくてはなりません。
【たとえば君がいるだけで】
審議中の盗聴法改悪案は、これまで通信事業者の施設内で行っていた盗聴捜査を、警察署内で行うというものに。法律で規定されていた第三者の立会規定もなくしてしまい、誰のチェックを受けることなく、警察はいつでも盗聴できるようになってしまいます。立会人は盗聴中の通話内容を聞くことはできないものの、外形的なチェックを行う役割を担い、捜査官の後にずっと座って不正がないか見張ってきたのです。立会人がいるだけで、濫用を防止する心理的プレッシャーになってきたことは言うまでもありません。
【おぼえがきはわすれとき?】
盗聴捜査が拡大した場合、通信傍受制御サーバーなどの機器を増設する必要があります。この費用は誰が負担するのか。現行盗聴法制定時、法務省と郵政省(現総務省)の覚書を示し、機器の購入が通信事業者の協力義務に含まれないことを確認し、「通信事業者が負担する」としていた警察庁の言い分が誤りであることを批判しました。支払う義務がない費用を通信事業者に「任意の協力」で求める警察の姿勢は、覚書を忘れたことにして骨抜きにするものだといわなくてはなりません。通信事業者の費用増大が、国民の携帯料金値上げにつながるなんてシャレにもなりません。莫大な費用をともなう盗聴捜査はやめるべきです。
【組織性の要件を満たす野党共闘】
刑訴法改正案の審議では、合同の勉強会を開くなど、ずっと野党が結束して取り組んできました。法案に対する態度はそれぞれかもしれませんが、冤罪をなくしたい、取調べの可視化を広げたい、通信の秘密を保障した憲法21条を侵害する盗聴捜査の拡大を簡単に認めるわけにはいかないという強い思いを野党は共有してきたのです。いみじくも盗聴捜査の犯罪要件とされる「組織性の要件」が、野党3党に介在していることの表れです。
【市民のための警察に】
緒方靖夫さんも述べられましたが、私たち日本共産党は「反警察」ではありません。どの社会にも、市民の権利の保障のために公的な力が必要です。そして、そのためにも警察が不可欠です。そしてそれは権力者の特殊な利益のためではなく、市民のための警察でなくてはなりません。引き続き頑張ります。