2日、和歌山県革新懇のシンポジウムで「維新政治をどう見るのか」について講演を行いました。
維新の伸長は大阪だけではなく今や全国的な傾向に。マーケティングを駆使した卓越した選挙戦術、自民支持層の瓦解、野党共闘の失速など、自公政治の転換を求める有権者の受け皿に維新が選択肢の中心に。国会では悪法成立に加担し、「核共有」含む大軍拡と改憲を狙う維新の実像を示すことが必要です。
同時に、私学高校授業料無償化、塾代クーポン支給などの「実績」を評価し、「身を切る改革」や「成長を止めるな」とのスローガンに改革政党としての期待を寄せる人が大勢いることを直視する必要があります。維新政治を打ち破るために大事なことは、その虚像と実像を事実に即して伝えることです。
例えば維新が大阪で府立高校を次々と廃校にし、競争と序列の教育で子どもたちに過度なストレスを与え、いじめや暴力事件、不登校が増えている現実を知ってもらい、改善するためには何が必要かを共に考えてもらうことです。高校授業料無償化についても学費上限制度に対し私学から批判が出始めました。
維新の会は「身を切る」といいながら政党助成金には一切手を触れず満額受け取っていることをどれだけの人が知っているでしょうか。議員定数削減で民意を削り、国保料や介護保険料の値上げしてきたことも彼らの「実績」です。切られてきたのは住民の声と福祉だということを知らせていかなくては。
カジノIR誘致に嫌悪を示すひとは維新支持層の中にもたくさんおられます。改憲に拒否感を持ち、非核三原則の見直しを唱える政策だけは受け入れられないという維新の支持者もおられるでしょう。改悪入管法での質疑内容やLGBT法での態度を見ればその人権感覚のなさに気づくひとは少なくないはずです。
もちろん維新の虚像と実像を明らかにするだけでは打ち破ることはできません。今の政治をおおもとから変えてほしいという有権者の願いに寄り添い、魅力ある政策を届ける努力が必要です。米国や財界と対決することなしに平和と暮らしを守ることはできないことを不断に訴えていく努力が欠かせないのです。
寝屋川市や高槻市の市長選挙で維新の候補を大差で退け、日本共産党も自主支援した現職が再選を果たした背景には、「公共の福祉」の重要性を数々の住民本意の施策によって市民自身が身をもって実感し、それを評価してのことでした。地方公共団体の役割は「福祉の増進」だということが浸透した結果です。
そして、私たちの自力の後退も維新政治の台頭を許してきた要因のひとつであることを直視しなくてはなりません。日常の宣伝や対話の活動について質・量ともに飛躍させることと合わせ、希望の持てる政策を太く打ち出していくこと、党員と赤旗読者を増やしていく取り組みを成功させることが肝要です。