8日、奈良県のみなさんと上京し、旧奈良監獄の保存活用に関して法務省に要望書を提出しました。
地域に愛された矯正施設・旧奈良監獄(奈良少年刑務所)。運用停止後は国の重要文化財に指定され、建物の保存と資料館の運営が決定しました。付帯事業として独房等を宿泊施設にすることが認められ、今後は星野リゾートを中心とした企業体が施設全体を管理・運営することになります。
私からは、建築物の保存と史料館の運営が事業の主題であり、ホテルはあくまでも付帯事業なのに逆さまになっていないか。法務省として主体性を持ち責任ある対応を取ることを求めました。また、法務省矯正局の前任者との間で、「事業内容の段階の進展に応じて市民や団体が説明を受け、要望を言える協議の場を設けてもらうことを約束」していたことを述べ認識をただしたところ、現在の矯正局の担当者からは「今も同じ認識です」と回答がありました。そして、事業者と住民との協議の場を設けることについて担当者からは、「あまり間を置くことなく実現できるのではないか」との回答がありました。
今回の要請に参加した日本共産党の山村さちほ県会議員、北村たくや奈良市議会議員は、戦前に治安維持法犠牲者など多くの思想犯が投獄された旧奈良監獄の歴史を史料館に展示することの必要性を訴えました。
法務省からは、史料館の内容についてはまだゼロベースとの回答がありました。今からでも多様な意見や残存する史料の収集を急ぐべきです。
かつて奈良少年刑務所で「詩」の授業を受け持ち、受刑者との交流を深めてきた作家の寮美千子さんは、「進んだ矯正教育の歴史を今にいかし、未来に繋げるための史料館にしてほしい。そして貴重な煉瓦建築をありのまま保存してほしい」と要望され、自らの著書を法務省に手渡しました。
同席した宮本岳志衆議院議員も「重要文化財である旧奈良監獄は国民共有の財産でもある。その保存には国が責任を負っている」と指摘しました。(2023/9/9記)