2月22日、衆議院予算委員会の質問に立ちました。
取り上げたのは今年1月15日に起きた長野県軽井沢町のスキーバス事故についてです。亡くなった15名の方のほとんどが将来ある大学生でした。
2012年に7名が亡くなり、39名が重軽傷を負った関越自動車道でのバス事故をうけて政府は再発防止に取り組んできたはずでした。それでもなぜ悲惨な事故を防ぐことができなかったのか。違法な料金で仕事を受け、大型バスの経験の浅い契約運転手にハンドルを握らせるなど、法令違反を繰り返していた悪質な事業者の責任はもちろんですが、その背景にある社会的構造に切り込むことなしに、本当の再発防止策を見出すことはできません。
2000年にバス事業を規制緩和する道路運送法の改悪が行われ、それまでの需給調整が廃止されました。新規のバス事業者は2倍以上に増えましたが、運送人員は1.3倍にとどまり、結果、低料金を競い合う過当競争が生まれました。私は資料を示しながら、人命が最も大切にされなくてはならない公共交通に、人的コストの削減を強いる市場競争原理が持ち込まれた結果、法令違反の蔓延とバス運転手の劣悪な労働環境がつくりだされてきたことを告発しました。
関越自動車道での事故以降、政府は「高速・貸し切りバスの安全・安心回復プラン」を制定し、悪質な事業者の参入規制や市場からの退出をうたいましたが、法令違反を繰り返す事業者を結果的に見過ごすこととなったことを認めさせ、政府の対策が不十分だったことを明らかにしたうえで、私は事後チェックではなく、入口で悪質業者を参入させない強い規制の必要性と、バス運転手の労働環境を改善することが、信頼回復と再発防止につながると力説しました。
政府の答弁はひどいものでした。石井国公大臣は規制緩和が引き起こした事故の現実を直視せず、警察の捜査を待ちながら事故原因を究明し、再発防止策を検討したいと述べるにとどまりました。年間過労死件数の3割が自動車運転手となっているデータを突き付けたにもかかわらず、塩崎厚労大臣は、バス運転手の健康確保のための法改正に消極的な態度を取り続けました。私は、日本共産党が一貫してバス事業の規制緩和に反対してきたことを紹介し、政府の姿勢を厳しく批判。企業の利益よりも人命を最優先することが何よりも大切であり、実効ある対応策を強く求めました。
質問に先立ち、ゼミ生が事故に巻き込まれた法政大学の尾木直樹先生から直接お話を伺うことができました。事故を起こした事業者への怒りとともに、バスの運行を管理・監督する国の責任と、規制緩和がもたらした構造的な問題に切り込んでもらいたいと託されていました。今回のバス事故に遭われた関係者のみなさんの想いを少しでも政府にぶつけることができれば…。そんな気持ちで取り組んだ37分間でした。
<写真:しんぶん赤旗提供>