大阪万博開催決定についての考察
2025年万博の開催地が大阪に決定しました。1970年以来、二度目の大阪での開催となります。テレビやネット上では開催を喜ぶ報道がなされています。しかし、私は大阪府民として手放しで喜ぶことができません。以下、四つの観点からその理由を書きたいと思います。
(巨額の税金投入は認められない)
万博の開催期間は半年です。そのためにどれだけの税金が投じられるのかということについて、しっかりチェックしていくことが必要です。大阪湾に浮かぶ人工島の夢洲が会場となる場合、地下鉄の延伸などに巨額の費用が見込まれます。大阪市のベイエリア開発では巨額の借金を生み出してきた苦い過去があります。この間、福祉や住民サービスが削減されて来た大阪において、万博整備費に税金を投入する際には、府民・市民との合意が欠かせません。
(災害に弱い夢洲でよいのか)
また、災害に弱い夢洲でよいのかという問題です。台風21号によって、関西空港は高潮被害に見舞われ、滑走路や地下の電源施設が水没し、運用できなくなりました。この日、同じ人工島である夢洲でも、護岸が崩れ、コンテナヤードのクレーンが倒壊するなどの被害が出ています。地震による津波や液状化などへの心配も尽きません。果たして夢洲を会場とすることで、3000万人と見込まれる来場者の安全を守ることができるのか、これは検証されるべきでしょう。また、夢洲は大阪市のゴミの最終処分地であることから、万博開催期間中とその後のゴミ処分のあり方について、見通しを示すことも行政の責任です。
(カジノありきは許されない)
そして、何よりもカジノとは切り離すということです。大阪府と大阪市は、万博開催の前年である2024年にカジノIRの整備を同じ夢洲で行う計画を進めています。カジノは賭博であり、ギャンブル依存症の拡大や治安の乱れ、暴力団などの反社会的組織の暗躍など、懸念がつきまといます。なによりも、多くの大阪府民はカジノ誘致に反対しているのです。
「カジノと万博はセットである」という、私たちの批判に対し、国も大阪府・市も、それぞれ別物だと主張してきました。ならば大阪万博は夢洲での開催にこだわる必要はありません。カジノ誘致はきっぱり断念するべきです。
(大切なのは府民のくらし)
大阪府は全国平均に比べても、府内総生産、可処分所得が落ち込んでいます。高齢者の健康寿命は全国下位です。中小企業支援は削られ、国保料や介護保険料の値上げて苦しい思いをしています。一過性のイベントである万博の陰で、府民の暮らしと営業が置いてけぼりをくらうのでは意味がありません。そのことについて監視の目を光らせていきたいと思います。
以上、私の個人的な思いを綴らせていただきました。これからもみなさんと力を合わせて、住みよい明日の大阪を取り戻すために頑張ります。
(写真は議員時代にカジノ万博を批判する清水ただし)