全会一致で可決!けれど、ツアーバスの抜本的な安全対策は規制緩和路線からの転換こそ
11月18日、衆院国土交通委員会は、今年1月に起こった軽井沢バス事故をうけて提出された道路運送法改正案を全会一致で可決しました。
採決に先立つ質疑で、私は関越自動車道高速ツアーバス事故(2012年4月)後の再発防止策の検証作業(フォローアップ会議)が途中で打ち切られていた問題を指摘し、真剣な検証が続けられていれば、今年1月の軽井沢事故は防ぐことができたかもしれないと政府の対応を厳しく批判しました。
そして、関越事故後に設けられた高速・貸切バスの「新運賃・料金制度」以降も、政府の思惑に反して下限割れ運賃が横行し、バス運転手の所得の向上どころか逆に減少し、全産業労働者に比べて年間120万円も低いことを告発。バス運転手に適正な賃金が支払われることを保障する上でも、「新運賃・料金制度」の引き上げを要求しました。石井啓一国交大臣は、「状況を継続的に把握し、必要な改善を図っていく」と述べました。
また、バスの安全運行のためには、運転手の健康管理が欠かせないことから、現在でも過労死ラインを超える115時間の残業を認めている「自動車運転者のための改善基準」(改善基準告示)を見直すことの必要性を力説。国交省は関越事故の後に、改善基準告示等に係る運用実態調査を行っていたにもかかわらず、フォローアップ会議が中断したことをもって公表してきませんでした。私が、バス運転手の過労運転を防止するためにも公表し、その内容を検証していくことが必要だと要求すると、石井大臣は、「今年度中に開かれる次回の軽井沢バス事故検討対策会議に報告し、公表する」と約束しました。
今回の法改正により新たに設けられる、バス事業許可の更新制度の導入や、法令違反をした事業者や資格者への罰則強化については必要なことですが、過当競争を生み出してきた背景にある、2000年以降の規制緩和路線を転換することなしに抜本的な安全対策とはなりません。
これにとどまることなく、引き続き効果の検証を行うこと、そして、緊急時に乗客の命を守る保安員の乗務の義務付けなど、貸切バスのさらなる安全対策の推進とバス運転手の処遇の改善を強く求めて質問をしめくくりました。