活動報告

ホンネとタテマエ

[活動報告]2016/05/12 更新

国内で介護人材が不足しています。他の産業に比べても低い賃金や過酷な労働条件が背景にあります。2020年までに25万人の介護職が不足すると試算されています。本来なら労働条件を改善し、介護福祉士の資格を持ちながら就労していないひとの復帰を支援するなど政府は努力するべきです。

しかし政府は、入管法改定によって外国人の在留資格に「介護」を新設し、さらに外国人技能実習生の職種にも「介護」を加えようとしています。つまり、低賃金で働いてくれる外国人労働者で人材不足を補おうということなのです。技能実習制度をめぐっては、労働法令違反や人権侵害などが横行し、たびたび社会問題となってきました。ほとんどの実習生が母国で保証金を徴収されて来日するため、借金返済のため働くことになります。実習先で不平を言うと「やめろ」と言われる。実習生の都合で実習先を変更できない現行制度のもとでは、「やめろ」=「帰れ」ということになるのです。このことを恐れて泣き寝入りを迫られるケースも後を絶ちません。対等な労使関係を保障しないかぎり、この制度の根本的な問題点は解決しないのです。

技能移転の名による国際貢献とは名ばかりであり、実態は労働力不足を補う人材確保策であり、タテマエとホンネを使い分けながらこの制度を続けようという政府の曖昧な方針は、さらに問題を拡大することになりかねません。